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PHAN. [ A.P.F. Mail Magazine ]
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■No.003 ■2002-02-21
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●はじめに
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こんにちは、ぽん輔です。
唐突ですが旅が好きです。

でもその際に困るのが、旅に出るときの身支度。
「これもいるかも!」って、
あれこれ用意するけれども、結局使わないモノがほとんど。
旅行の前って正確な判断力が衰えているのか、
旅行先での状況を想像する力がないのか、
「これは持っていくべき」っていうのでとてつもなく悩みます。
それで結局、荷物が多くて大変なんです。

みなさんは、どうしてますか。
そんな感じで。

では第3号も、お楽しみ下さい。

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▼INDEX▼
●「A.P.F.」NEWS
(1)バックナンバー
●お薦めモノ
(2)本
(3)映画
(4)誘われてフラフラ<IXY-DIGITAL / CANNON>
※INTERIORは今号より、
「誘われてフラフラ。」にタイトルを変更しました。
●ボランティア
(5)くわまん日野日記<第二部 =米子ボランティアセンターにて=>

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●「A.P.F.」NEWS
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(1)バックナンバー
「web A.P.F.」で「PHAN.」のバックナンバーの公開を始めました。
最新号の一つ前まで載せてます。
読み逃した人はどうぞ。

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●お薦めモノ
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(2)本
「超ジャズ入門 / 中山康樹著」
この手の類の本っていうのは人に読んでるのを知られると
恥ずかしくないですか。
実際、本屋のレジに出す時恥ずかしかったですよ。
なんて言うか、
「ジャズって渋い大人の代名詞?憧れるよね。
でも実際何聴いても同じに聞こえる。
どこがいいんだろう。どれから聴けばいいんだろう。
仕方がない勉強してみるか。」
みたいな感じがしませんか。
今までも本屋でぶらっと立ち読みとかはしてみたりしてたんですが。
今回はついに勇気を出して買っちゃったんですよね。
この本に限っては実際ね読んでみるとあら不思議。
ジャズ史など小難しい事一切なしで、
読み終えたらジャズが聴きたくなってくる。
でも「ジャズはマイルス・デイビスだけ聴いてればいい」
みたいな事を言ってる著者なので、
その真偽のほどはどうなんだか。
まぁ、ここから僕のジャズライフが始まって
素敵な大人になるかもね。
= ぽん輔 =

(3)映画
「バックドラフト」
1991年に公開されたこの映画は、
アメリカのシカゴを舞台にした消防士達の物語。
日々炎と戦う男達、消防署を次々と閉鎖して行く市長、
その周りで起こる殺人事件。
そして、その犯人は意外なとこにいた・・・。
この映画の見所は、
まるで生き物のように動きそして消防士たちに襲い掛かる炎、
生きるか死ぬかの紙一重で働く消防士たちの
「You go. We go.」に込められた絆、
同じ消防署で働く兄弟の絆。
そして、最後に待ちうける結末とは・・・。
私の人生を変えたこの一作。
一度見てみてください。
この作品を超えるパニック映画には
まだあったことがありません。
= あべちゃん =

(4)誘われてフラフラ<IXY-DIGITAL / CANNON>
※INTERIORは今号より、
「誘われてフラフラ。」にタイトルを変更しました。

買う頃には発売されて1年くらい経ってたので、
そろそろ新機種の噂が出ていましたが迷わず購入。
新機種のほうが性能いいし普通は待つんでしょうけど。
それには理由があります。
デジカメではなくAPSのIXYが発売された当初、
買おうかと迷っていたんですが、
新しい製品の方がいいやと言うことでやめました。
でもね、そのあとに発売されていくIXYたち、
かわいくないんですよ。
やっぱり持つのならデザインが大事ですよね。
かわいくないとあまり毎日持ち歩きたくない。
持ち歩かないと使わない・・・。
カメラなんて撮ってなんぼのものですから。

基本的にモノを買うときに一番重視するのは見た目ですかね。
本当はダメなんだろうけど、
愛着をどれだけ持てるかってので一番の選択基準です。
それで良く失敗もするんですけどね。
まぁそれもまた良しという事で。

ん?結局IXYについて何も書いてないような。

Canon IXY DIGITAL
http://www.canon.co.jp/Imaging/IXY/IXY.html


次号予告<SNOW DECK - JUNKYARD - / BURTON>
= ぽん輔 =

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●ボランティア
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(5)くわまん日野日記<第二部 =米子ボランティアセンターにて=>
10月10日
災害ボランティアを募集していることを新聞で知り
米子のボランティアセンターに行ってみた。
現在フリーターである自分のような者が行かなければ
平日は人が足りないだろうと思ったからだ。
とにかく、かるい気持ちだった。

ここで、私より少し後にやってきたS君と知り合う。
彼は私と同じ26歳、東京の大学院生で、
たまたま米子の実家に帰っていたときに地震にあい、
昨日からボランティアにきているということだった。

意外とボランティアのニーズは少なく、しばらく待機。
報道していたようにやっぱり今回の地震は神戸に比べて
全然たいしたことないのかと思いはじめた。
この考えは夕方には改めることになるのだが・・・。

今日最初のニーズがはいった。
庭石が倒れているので起こして欲しいとのこと。
ボランティアにできることなん?と思いつつも、
ほかにニーズがあるわけでもないのでいってみることに。
この時点で力仕事ができそうなのは私とS君しかいなかったので、
この2人を含む3人で出発。
現場に着くと、かなり高齢のおばあちゃんがでてきた。
おじいちゃんと2人暮らしだが、
おじいちゃんは墓石を見にいっているらしい。
作業自体はごく小さな庭石を直すだけで
「あ、これは業者に頼むようなもんじゃないわ」と思ったが、
確かにお年寄りには無理だろう。
石がもとどおりになると、
こちらが恐縮してしまうほど感謝された。
「そうか、こんなことでも役にたてるんだ。」
今回の私の活動の原点である。

午後からはニーズもなかったので、
人手が足りないとの情報のあった
西伯町のボランティアセンターに派遣という形で行った。
S君らと4人で。
そこでは
「赤谷という地区の
独り暮らしのおばあちゃんの家の窓をなおしてほしい。
それから、かなり不安を感じておられるようなので
話相手にもなってあげてほしい」ということで出動。
その赤谷とは、かなり奥地の集落で、
家もほとんどないようなところだった。
ここに向かう途中で今回の地震の大きさをおもいしることになった。
道沿いの山は崩れ、橋が落ち、全ての石垣は崩壊し、
傾いた家も多い。
結局今回の地震の特徴はこれなんだと思う。
震源が山の中にあるため
揺れの大きさの割に数字上の被害が少ない・・・。
人が少ないところなので情報があまり伝わってこない・・・。

現場に到着。
おばあちゃんと呼ぶのは
失礼と思えるおばちゃんが出てこられた。
「これはおばあちゃんなんて呼ぶことはできないな」
と思っているところに、いっしょに出動したおばちゃんが、
「おばあさんが
大変不安を感じておられるということで・・・。」
「あああぁぁーお!!なんてことを!」くわまん心の叫び。
おばちゃんが一瞬不機嫌な顔をしたように見えた。
窓の方はというと、
えんがわの窓が湾曲して何枚かははずれていた。
家が変形して
窓枠の高さが窓の高さより低くなっているのである。
これは赤紙張られることになるのかなと思いつつも、
ジャッキを使って窓枠をひろげ、窓をはめた。

あたりは暗くなりはじめ、
これで私のボランティア初日は終了した。

10月11日
この日は、まず、液状化でふきだした泥を撤去しに出動した。
昨日、私とS君が
「力仕事できるのは君達しかいないから。
2人で30分程の作業だから」
とコーディネーターの人に言われていたのだ。
あぁ、今思えばなんと詐欺的な言葉だったことだろう!!
幸い、もう一人おじさんが来られたので
3人で作業したのだが、1時間ほどかかった。
液状化のあの重い泥を
スコップで休みなくかきだし続けて1時間である!!!
作業後、道端に座り込む3人の姿があった。
それはまるで、
あしたのジョーの最終回ようだったという(わかるかな〜?)。

センターに帰ると、
大阪からやってきたという大学生と知り合った。
この茶髪の男こそおけピーである。
もっとも、彼も私もこの時点では
「おけピー」「くわまん」などと呼ばれるなどとは
予想だにできなかった。
ましてやA.P.F.などという
あやしい団体の構成員にさせられることをや(??)。

この日もボランティアの数に比べて
ニーズが少なかったことから、午後からは日野町に派遣。
S君、おけピー(仮)、私を含む約10人。

日野町の災害ボランティアセンターに着くと、
「下榎で人が足りないから、
そこの元気村に行ってほしい」と地図を渡された。
しかし、いくら地図を探しても「元気村」なんてない。
それもそのはず「元気村」とは
あの有名な神戸のボランティア団体であり、
下榎で活動していたのであるが、
私たちのなかで知っているものはいなかったのである。
「国道は通れないから迂回路で」という指示に従って移動。
道中、崩れた岩が落ちてるは、
道がひび割れたり崩れたりしてるは、
段差はできてるはで、もう大変。
愛車シルビアは飛ぶは跳ねるはでもう泣きそう。
「災害地 パジェロで行こう 気を付けて」

本来10分でいける距離をおよそ50分かけて現地に到着。
帰るときに、
実は迂回せずに行くことができたという
衝撃の事実を知ることになるのだが・・・。

そこでは、まず、おけピー(仮)と
軽トラで土嚢を取りに行った。
「めいっぱい積んできてほしい」とのこと。
2人で土嚢を積み込みはじめた。
最初は話をしながらだったが、
重労働でだんだん無口に・・・。
そのときだった。「ストップ!ストップ!」
おけピー(仮)がタイヤを指差した。
そう、タイヤが完全につぶれていたのである。

軽トラの最大積載量は350kgである。
にもかかわらず土嚢を山積みしたのである。
あほである。どうするかしばらく考えたが、
いまさら山積みした土嚢をおろすのも悔しかったので、
近くのガソリンスタンドで空気を入れることに。
時速10km、迷惑な2人。

元気村の本部に帰ると、
各家庭をまわってニーズをきいていた。
「ニーズなんて待ってたって来ないよ。
電話だって臨時回線なんだから」とはスタッフの言。
そりゃそうだ。
今思えば米子はこの点で不十分だったのでは。

帰る前に米子から来たメンバーで話をしていたら、
意外な事実が発覚。
メンバーの多くが26歳だったのである。
最近17歳がよく話題になるが、我々も負けてはいない。
「暴走する17歳」ならぬ「迷走する26歳」である。
いや、
ほんとはみんな無理に時間を作ってきてるんだけどね。

おけピー(仮)は日野に残った。

10月13日
くわまんの姿が京都にあった。
この日は受験した資格試験の合格発表だったのである。

受験仲間でもある、友人のO君と待ち合わせて昼食。
最初はくだらない話や地震の話などでもりあがったが、
時間が近づくにつれて空気が凍結・・・。

夕方、夕日に向かい賀茂川土手で黄昏る2人がいた。
ここは犬の散歩をさせる人が多いところである。
それを見つめながら
「犬でも飼おうか?」「そうだね。」
現実逃避。

夜は、友人のI君、YU君と滋賀のYU君の家で飲んだ。
いつもはすぐにアルコール自動吸引モード
(高速手酌モードとも言う)に入り自爆するI君が
この日は自重ぎみ。
「おれだって成長するんだよ」
しかし、・・・すぐ寝た・・・。
YU君と地震の話をした。
私が目にしたものを語ると、彼は驚いていた。
やはり、
報道からはあれほどのものだとは想像できないらしい。
死者ゼロ・・・それは奇跡的だと思うのだが・・・。

10月15日
この日は
「倒れた壁が道路をふさいでいるので撤去してほしい」
との依頼で出動。
どうせブロック塀だろうと思っていたが、
現地について茫然。
半分建物ともいえるような土壁が道路側に完全に倒壊、
およそ15mにわたって道をふさいでいた。
その瓦礫の高さ1〜2m。
「こんなん人間にできるかい!おれらはゴジラか!」
結局、まだ崩れそうな部分などの危険個所に
防止策をとっただけで撤収した。

センターに帰ると、
たくさんのボランティアでごったがえしていた。
人出は過去最高、ニーズはあいかわらず少ない。
そんななかで、ひときわ目を引く男がいた。
「ピンク」のスタッフジャンパーを着た
坊主でひげの男である。
スタッフジャンパーは、
ボランティアがあやしい者と間違われないように
(実際、「市役所の方から来ました」などといって
屋根にシートを張り、
数十万円請求されたという被害もでていた)
出動するときに着ていくようにわたされるもので、
いずれも螢光色(!)で
緑、黄色、ピン クとあるのだが、
みんな緑か黄色を選び、しかもあまり着たがらない。
そんな状況の中、
彼は、いや彼だけは喜々として
「ピンク」のジャンパーを着ていたのである。
私は思った、
「かかわりあいになるのは避けよう。」

しかし、私の願いは天に届かなかったのか、
その思いは打ち砕かれた。
その男が「うどん食べます?」
と声をかけてきたのである!
私は返事をためらった。
ずっとコンビニおにぎりばかりだったので、
インスタントとはいえ温かいうどん自体はうれしかった
(後にカップ麺地獄に苦しむとはしらず)。
しかし・・・。
「それじゃあ、お願いします」
結局、私は誘惑に負けた。
彼はその後もみんなに声をかけ続け、
楽しそうに何度も給湯室へ往復しては
おぼんいっぱいのカップうどんを運び続けていた。
「なぜなんだぁーー?」
いまだに謎である。

昼食をとりおわると、
例の男、かわいい(と言っておこう)女性2人、
スタッフの男性が親しく話をしているのに気付いた。
なにをかくそう、彼らが後のぽん輔、なおぽん、
やまごん、あべちゃんである。
あべちゃんはスタッフぽい
赤いジャンパーを着ていたうえに、
「救急救命士」 なる名札をつけていたので、
この時点ではスタッフだと思い込んでいた。

午後からもニーズはなく、
米子の災害ボランティアセンターはお開きになった。
他のセンターに行こうかとも思ったが、
どこも人は足りているとのことだったので
(後に、この日がボランティア数のピークで
特に日野町は400人来ていたことを知る)、
帰宅することにした。
駐車場で、
車に乗ったなおぽん(仮)、ぽん輔(仮)に会う。
なおぽん(仮)から日野に行くということをきいて、
「がんばって。さようなら」
このときは再会するとは思ってもみなかった。

以下次号へ・・・
= くまわん =

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●「PHAN.」について
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読みにくいかもしれませんが「ファン」と読みます。
「phantasm(想像の産物)」と「fun(楽しみ)」をかけた造語です。
いろいろ楽しい事を想像して作っていきましょう、という事です。


配信数:20件(2月21日現在)

【発行】 A.P.F.
【編集】 ぽん輔(浅井大輔)

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