ニーズはあと1件。誰もが今日で終わることを確信していた。いや、それは祈りにも近い気持ちだったかもしれない。「今度こそ・・・」
残っていたのは、Tばあちゃん宅の壁のシート張り。私が把握しているだけでもこの家は5回目の出動。壁にひびがはいっているが、特に雨漏りがするというわけではなく、余震がきたら崩れて隣に迷惑をかけるのではと思ったから。とにかく心配性なのだ。地震以降精神的不安が相当あるようだった。
午前中でほとんど完了し、センターで昼食。Wさんが、明日から時間ができるから何をしようかと嬉しそうに話していた。
午後からは、WさんがHさんを追い返すように帰らせた。Hさんは午後から用があるとのことだったので、気を使っているのだろうと思った(このときは)。Hさんが帰ると、Wさんはなんと(!)Hさんの張ったシートをはがしはじめた。機能上は問題ないが、見た目が気に入らなかったらしい。そこまでしなくても・・・。しかも、その作業中に近所の人がやってきて「うちもやってもらえんだーか?」なんてこったい!今日で終わりという野望はまたもくだけた。
この時点ではだれも気付いていなかったが、これに一番ショックをうけていたのは、明日からのことを楽しそうに話していたWさんだったというのが翌日あきらかになる。
とにもかくにも、Tばあちゃん宅の作業が完了し、片付けをしているときに事件はおきた。WさんとTばあちゃんがもめているようにみえたのだ!しばらくもめていたが、Wさんは早足で去っていった。すると、Tばあちゃんは私の方にやってきたではないか。その差し出したものをみると、どうやらお金(!!!)である。そう、WさんとTばあちゃんはお金を渡す、もらわないの押し問答をしていたのだ。私も3分程お金を押しつけあったのち、走って逃げた。すると、Tばあちゃんは最後に残ったKYさんが車を出すときにお金を車に投げ入れ、家に駆け込んだ。それはとてもお年寄りの身のこなしとはおもえなかったという・・・。
結局、センターを通じて返してもらうことになった。このように、無償で作業をしてもらうのはもうしわけないとか、無償でなんて頼めないという人は結構おられた。でも、私たちは対価を求めて活動しているわけではないので、「ありがとう」の一言で充分なので、そんなことに気を使わず依頼してほしいと思う。それでもやっぱり気になるというのであれば、休憩中にお茶をだしてもらえれば充分すぎるぐらいと思う。
ま、なかにはいたけどね、「やって当然」って態度の人。私たちボランティアも人間なんだからこれはつらい。とにかく、気持ちだけあれば充分ということだろう。
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